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海外派遣メンバー

海外派遣メンバー・インタビュー
#05

藤田 英二 准教授

鹿屋体育大学

インタビュー 2018年2月16日

辛い故障の経験から、アスレティックトレーナー目指す

高校時代はウェイトリフティングの選手だった。日本記録を打ち立てオリンピックに出場する先輩や、全日本選手権で優勝するような同級生を輩出する強豪校で、自身もインターハイ出場と団体での全国優勝を目指すチームの一員として練習していたという。ところが過酷なトレーニングやスポーツ医学の知識不足がたたって椎間板ヘルニアを患い、力を十分発揮できないまま競技生活を終えることになった。「ストレッチングなどコンディショニングの重要性について教えてくれる人は、当時は身近にいませんでした」。そんな自分の経験をきっかけに、アスレティックトレーナーを目指すようになったという。

高校卒業後、専門学校で学び、柔道整復師の国家資格を得た後に整形外科の現場で5年間働いた。職場の院長は、当時バルセロナおよびアトランタオリンピックの日本柔道チームのドクターを務めており、そんな縁で競技選手たちの治療やリハビリも目の当たりにすることができた。

現場を見る細やかな目、研究に活かす

その後、福岡県体育協会から推薦を受け、日本体育協会のアスレティックトレーナー養成講習を2年間受講した。そこで、さらにスポーツ科学の魅力に引き込まれた。「スポーツ選手がけがをして、手術して退院するまでの現場は経験していたが、もっとスポーツの現場に近いところを知りたい、より深くスポーツ科学を知り、研究をしていきたいと思うようになりました」。

鹿屋体育大学の大学院に社会人として入学。大学院博士課程まで進み、35歳で母校の研究職になり、高齢者の健康づくりの分野にも関わるようになった。研究者としては比較的遅咲きだが、現場を良く知っているのは強みだ。妻はケアマネジャーとして介護業界で働いていたので、高齢者の実際の暮らしぶりもよく聞いて知っている。高齢者を対象にした研究を進めるとき、どんな配慮が必要なのか。細やかな心配りをし、関係者とコミュニケーションを取り、介護施設などの現場に飛び込んで仲良くなって研究を進めていける研究者はそう多くない。

現在は、スポーツ選手と高齢者、違う対象での研究を手がけているが、高齢者の方が運動への意欲が低いことがままあり、難しいことがあるという。医療現場でリハビリを担当した患者さんのうち、最高齢者は97歳の股関節骨折をした女性だった。「高齢者にとっては、我々には簡単に見えるリハビリ動作も本当にきつい。こんなに辛いことするならもう死んだ方がまし、という人をなだめすかし、効果を実感してもらい、『玄孫の顔を見るまで頑張りましょう』と励まして、術後に歩いて退院できるまでお付き合いできたのはいい経験です」。

一流のトレーナーのノウハウを科学的な手法で分析・数値化
誰もが使いやすい形に

アスレティックトレーナーとして日の丸をつけてナショナルチームに加わり、オリンピックなどで選手を支える現場に立ちたいと夢描いていた時期もあったそうだ。今は、そんなアスレティックトレーナーや高齢者の運動指導者たちを支援する研究に、面白さを見出している。一流のトレーナーや運動指導者が、アスリートのリハビリを指導したり、健康づくりや介護予防の運動指導を進めたりしているノウハウを、科学的な手法で分析・数値化し、経験の浅い人でも高いレベルの指導ができるように道筋を示してあげたい。「一里塚を細かく立てて、具体的に進められるようにしたい。それが見えれば、経験の浅いトレーナーや運動指導者でもこうやれば、こんな効果があります、と自信を持って指導できるようになると考えています」。