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海外派遣メンバー

海外派遣メンバー・インタビュー
#03

横田 太 助教

奈良先端科学技術大学院大学

インタビュー 2018年2月19日

ロボット義手の番組を観て、医用工学を志す

子どものころから図画工作や理科の実験が好きだったという。小学校3年生のころ、ゴムを巻くとその力で走る車を自由研究で作ったことを覚えている。

高校生の時に、ロボット義手について取材したテレビのドキュメンタリー番組を見て、医用工学という分野に興味を惹かれた。それまでは人間がボタンやスティックを操作して動かすもと思っていたロボットが、人間の神経の信号を読取ることで意思通りに動かすことができるようになっていたのに驚いたのだという。「今まで見たことがない仕組みに、インパクトがありました」

そんな医用工学を勉強できる大学を探して、神戸大学に進学。その後、画像処理で医療分野に取り組む研究室に大学院博士課程まで所属し、神戸大学と大阪大学付属病院を往復して研究を進めた。2015年度から奈良先端大で助教として活動している。

医師の経験と情報科学をつなげる研究

国内で年間約5万人が人工股関節の手術を受けている。その手術を手助けするため、CT画像から、骨の形を見分ける研究をしていた。CT画像は画素が粗くて白黒のため情報量が少ない。しかも病気でほとんど軟骨組織が失われて骨がくっついて見えるような画像から、骨の継ぎ目を探し出さなければならない。医師の経験を情報科学の力でうまく取り込み、少しずつ進化させてきた。「これ、本当に見えるのか、無理だ、できないよと言われていたことが可能になってきた。そこが研究の面白さです」。

当初は手術支援が研究の目的だったが、人体そのものの不思議さにも興味は広がっている。一つひとつの筋肉は、手術したあと、どれが弱るのか、一方で変化しにくいものはあるのか。個人差はどのくらいあるのか。今のリハビリプログラムは本当に効果的なのか。わかっていないことは多いという。

「高齢者に、スポーツトレーニングに近いようなきついリハビリをやってもらうのは大変です。しかし、あなたの場合、これを少しでもやれば一番回復の早道です、というような方法を示せるようにしたい」

これを発展させれば、プロ野球の投手のフォームや筋肉の動きを解析して、フォームの改造や、ここの筋肉をこういうやり方で鍛えると球速が上がりますよと助言できるようなシステムも可能になるかも知れないという。「10年前に将棋の世界で、コンピューターがここまで強くなるとは想像できない人が多かった。スポーツ科学で、同じことが起きても不思議ではありません」

研究者の垣根の低さに驚き、刺激を受けた

米ジョンズホプキンス大に1年余り滞在し、研究者間の垣根の低さに驚いたという。日本では教授を頂点とする研究室ごとにわかれているが、ジョンズ・ホプキンスでは、医用工学分野の学生はみな同じ部屋、ポスドクも同じ部屋にいた。領域の異なる教授たちが複数参加したミーティングに幅広い分野の学生も参加していた。「みんな対等に議論しているから、ミーティングの様子を見ているだけでは、誰が偉い先生なのかもわからない。専門が違う人たちが当たり前のように会って議論しているのが、日本とは違いました」